生活・ライフスタイル

たかの友梨が世界中の美容技術を取り入れた理由|アーユルヴェーダからロミロミまで

はじめまして。美容・ウェルネス専門ジャーナリストの中村葵(なかむら あおい)です。エステティシャンとして15年のサロン経験を持ちながら、現在は国内外の美容施設を取材・執筆する仕事をしています。これまでアジア、ヨーロッパ、ハワイなど100施設以上のサロンやスパを訪れ、各地の伝統的な美容文化を肌で感じてきました。

「なぜ”たかの友梨”には、こんなに多彩な施術メニューがあるのだろう?」

エステに興味を持ちはじめた方なら、一度は感じたことがある疑問ではないでしょうか。インドのアーユルヴェーダ、ハワイのロミロミ、スイスのエイジングケア、韓国の金箔美容、モンゴルの岩塩トリートメント……。これほど多様な世界の美容技術を一つのサロンに凝縮しているのは、日本ではたかの友梨ビューティクリニックだけといっても過言ではありません。

この記事では、美容家・たかの友梨が世界中の美容技術を次々と取り入れてきた”理由”と”背景”を、彼女の哲学や歩みとともに詳しくご紹介します。「本物の美容とは何か」を突き詰め続けた一人の女性の物語は、きっとあなた自身の美への向き合い方にも新しい視点をもたらしてくれるはずです。

たかの友梨とは?日本エステ界を牽引したパイオニア

1948年生まれ、エステ界の先駆者

たかの友梨(本名:高野友梨)は1948年1月、新潟県南魚沼郡湯沢町に生まれました。現在、たかの友梨ビューティクリニックの代表を務め、一般社団法人エステティックセラピスト協会会長としても活躍する彼女は、日本のエステ業界を語るうえで絶対に欠かせない存在です。

東京で理容師として働きながら美容師の免許取得を目指し、さらに外資系化粧品会社の美容部員としても経験を積んだたかの友梨。その後、エステティックを本格的に学ぶため1972年に単身でフランスへ渡り、8ヶ月間の修行を経て帰国後にたかの友梨ビューティクリニックを設立しました。

エステという言葉の認知度がまだ低く、女性経営者も珍しかった時代に、独自の美容哲学を武器に業界を切り拓いたパイオニアです。

フランス留学が火をつけた「美への探究心」

1972年、たかの友梨がフランスへ渡ったのは「エステティックを本場で学ぶ」という強い意志からでした。この渡仏体験が、後の「世界中の美容技術を探し求める旅」の出発点となります。

フランスで美容技術の奥深さを知ったたかの友梨は、帰国後もその探究を止めませんでした。「日本の女性に、世界最高水準の美容技術を届けたい」という一念が、彼女を世界各地へと駆り立てていくのです。

たかの友梨が「世界の美容技術」に着目した理由

「引き算の美学」という独自哲学

たかの友梨の美容哲学を語るうえで欠かせないキーワードが、「引き算の美学」です。これは、余分なものを足し続けるのではなく、不要なものを取り除き、肌や身体が本来持っている力を引き出すという考え方です。

現代のスキンケアは「足し算の美容」が主流です。美容液、乳液、クリーム、美顔器……と次々と製品を重ねる方法が一般的ですが、たかの友梨はむしろ「肌に余分なものを入れすぎない」「自然治癒力を高める」という方向性を重視してきました。

この哲学は、世界各地の伝統的な美容技術と見事に共鳴していました。インドのアーユルヴェーダも、ハワイのロミロミも、その根底には「身体が本来持っているバランスを整える」という思想があったからです。

本物の美しさは現地の”生の技術”にしかない

「文献や資料を読むだけでは、本物の技術は理解できない。実際に現地へ行き、施術者から直接学ぶことが大切だ」というのが、たかの友梨のスタンスです。

彼女がハワイへ渡ってロミロミを体験し、インドへ飛んでアーユルヴェーダを学び、スイスの医師たちと直接交流を重ねてきたのも、すべてこの信念に基づいています。現地の施術者と人間としてつながり、その技術だけでなく「文化」や「精神」まで受け継ごうとする姿勢が、たかの友梨の世界美容探求の特徴です。

テレビ東京で長年放映された「ヴィーナス紀行」は、たかの友梨が世界各地の美容技術を紹介する番組として人気を博しました。その取材を通じても、世界の本物の美容と向き合い続けてきたのです。

インド発の叡智「アーユルヴェーダ」との出会い

アーユルヴェーダとは?5,000年の歴史を持つ伝統医学

アーユルヴェーダは、インドやスリランカで生まれた5,000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学です。サンスクリット語の「アーユス(生命・寿命)」と「ヴェーダ(科学・知識)」を組み合わせた言葉で、「生命の科学」を意味します。

中国の漢方と並んで世界保健機関(WHO)によっても公式に認められており、西洋医学が「病気を治す」治療医学であるのに対し、アーユルヴェーダは「より健康に、より若々しく」を目的とした予防医学として位置づけられています。

人の体には「ドーシャ」と呼ばれる3つのエネルギー(ヴァータ・ピッタ・カパ)があり、そのバランスを整えることで心身の健康と美しさを維持するというのが基本的な考え方です。

1984年、インドで衝撃を受けたたかの友梨

たかの友梨がアーユルヴェーダと出会ったのは1984年のことです。インドのケーララ州を訪れた彼女は、先祖代々アーユルヴェーダに携わる施術者のカウンセリングを受けた後、2人の施術者による「アヴィヤンガ」というトリートメントを体験します。

ゴマ油を使い、2人の施術者が呼吸をぴったりと合わせて行うこのトリートメント。体内の毒素(アーマ)の排出を促す効果があるとされています。たかの友梨はこの施術に深く感銘を受け、インドの首都デリーへも足を運び、著名な専門家であるアショカン女史との交流を重ねました。そして1985年より現地ドクターとの研究を深め、独自のアーユルヴェーダ施術を日本のエステに取り入れる準備を進めていきます。

「人の自然治癒力を取り戻そうとする発想」に強く共感したたかの友梨のアーユルヴェーダへの傾倒は、著書「アーユルヴェーダ美人道」にも詳しく記されています。

エステとしての導入:「アヴィヤンガ」

1995年、たかの友梨ビューティクリニックはアーユルヴェーダに基づく「アヴィヤンガ」をエステとして正式発表しました。

アヴィヤンガは、本来は正式な医療行為の一部であり、美容・老化防止はもちろん、肩こりやストレスの解消、安眠効果なども期待できる全身オイルトリートメントです。マッサージに使用するオイルが毛穴から皮膚に浸透し、代謝を促進するため、心身のリラクゼーションにも優れた効果があります。

「忙しい毎日を過ごす現代女性たちに、インド古来の叡智を届けたい」というたかの友梨の想いが結実した施術として、今もなお人気コースの一つです。

なお、たかの友梨ビューティクリニック公式サイトのアーユルヴェーダ紹介ページでは、たかの友梨自身がインドで体験した詳細なエピソードが語られており、施術への真剣な向き合い方がよく伝わってきます。

ハワイの魂を宿す「ロミロミ」の世界

ロミロミとは?カフナから受け継がれた祈りのトリートメント

ハワイ語で「揉む、圧する」を意味する「ロミロミ(Lomi Lomi)」は、ハワイ先住民の間で古くから受け継がれてきた伝統のトリートメントです。カフナと呼ばれるハワイの聖職者たちが、身体的な疲れだけでなく心も癒すヒーリングケアとして行ってきたもので、「心・手の温もり・魂から生じるやさしい愛情のこもったトリートメント」とも表現されます。

海、太陽、大地といった自然のエネルギーを取り込み、施術者と受ける側の魂が通じ合うような感覚が特徴で、もともとはフラダンスと同じく神に捧げる儀式の一つでした。その手法はカフナの家系だけに口伝えで受け継がれてきた、秘伝ともいえる技術です。

19世紀にキリスト教の影響でハワイの土着文化が弾圧を受けた時代も、カフナに連なる人々が密かにロミロミを守り続けてきました。1970年代、マーガレット・マシャドという女性がこの技を広く伝え始めたことで、ロミロミは世界中の人々に「癒しのトリートメント」として知られるようになります。

「ロミロミ®」商標登録に込められた本気

たかの友梨がロミロミと出会ったのは20年以上前(1990年代初頭)のことです。ハワイのビッグアイランド・ワイコロアを訪れた彼女は、カフナの末裔といわれるボディセラピストから直接ロミロミの体験と学びを得ました。

「施術者の手のひらから愛情が伝わってくる」「気がつくと施術者と自分の呼吸がぴったりと合っていた」と語るほど深く感動したたかの友梨は、スタッフとともにロミロミのすべてを現地で直伝されます。

その後、1994年にたかの友梨ビューティクリニックはロミロミをいち早くエステティックに導入。習得にあたっては、ハワイの施術者を日本に招き、約100人のエステティシャンが時間をかけてその技術と精神を受け継ぎました。1995年にはロミロミの伝承者キャミー・ハント女史を招いた大規模なデモンストレーションも開催し、「ロミロミ」という言葉を日本の美容界に広く知らしめました。

そして1997年、たかの友梨ビューティクリニックはハワイ伝統の確かな技術を守り続けるために「ロミロミ®」を商標登録。日本における”ロミロミ”の先駆者として、本物の技術の普及と維持に取り組んでいます。

詳しくは公式サイトのロミロミ紹介ページをご覧ください。たかの友梨が現地で体験した感動がありありと綴られています。

たかの友梨ならではの”ロミロミ”

現在、「ロミロミ」と名のつく施術はさまざまなサロンで提供されていますが、ハワイ伝統の本物の技術を正式に継承しているのは、日本ではたかの友梨ビューティクリニックだけとされています。施術者がカフナの精神まで含めて体得していることが、他との大きな違いです。

スイス、韓国、モンゴル…世界の美を次々と導入

アーユルヴェーダとロミロミ以外にも、たかの友梨は世界各地の美容技術をエステに取り入れてきました。以下の表に主なものをまとめました。

国・地域技術・コース名特徴導入の経緯
スイススイス式エイジングケア先端のバイオテクノロジーと植物成分を活用した高機能フェイシャル1985年から毎年スイスを訪問し現地ドクターと研究。1998年に第1弾を発表
ハワイロミロミ®先住民伝統の全身トリートメント現地でカフナの末裔から直伝。1994年導入、1997年商標登録
インドアヴィヤンガ / アーユルボディアーユルヴェーダに基づくオイルトリートメント1984年ケーララ州で体験。1995年発表
モンゴルモンゴル式岩塩トリートメント神の塩・手技・温めで全身ケアモンゴル伝統施術を調査・研究し導入
韓国金箔フェイシャル / 磁気フェイシャル純金の金箔や磁気を使ったプレミアムエイジングケア韓国視察で発見し感動して取り入れた
ロシアロシアントリートメント「金の糸美容法」の発想を取り入れた施術ロシアへ渡って直接取材
ドイツドイツ先端エイジングケアコースドイツの最先端成分・技術を活用現地研究をもとに開発
ミャンマープエラリアトリートメントミャンマー取材で出会ったオリジナル美容オイルを使用現地取材・調査から開発

このように、たかの友梨が足を運んだ国や地域は、インド・ハワイ・スイス・韓国・モンゴル・ロシア・ドイツ・ミャンマー・カンボジアなど、まさに世界規模に及びます。それぞれの地で現地の施術者や医師と直接交流を持ち、技術だけでなく文化や思想まで理解しようとする姿勢が、唯一無二のサロンを生み出してきたのです。

たかの友梨が世界美容にこだわり続ける本当の理由

「本物」を届けることへの揺るぎない信念

たかの友梨が世界を旅して美容技術を探し求め続ける根本には、「日本の女性に本物の美しさを届けたい」という強い信念があります。創業以来、常に世界の先進的な美容法を日本に紹介し、エステティック界を牽引してきた彼女の姿勢は、半世紀を超えた今も変わりません。

彼女の美容哲学「引き算の美学」は、アーユルヴェーダの「自然治癒力を呼び覚ます」という思想とも、ロミロミの「身体と魂のバランスを整える」という精神とも見事に一致しています。世界各地の伝統美容が共通して持つ「本来の力を取り戻す」という哲学が、たかの友梨の信念と深く共鳴しているのです。

美と社会貢献をつなぐ姿勢

もう一つ、たかの友梨のプロフィールで特筆すべきなのが社会貢献活動です。たかの友梨と子供たちへの支援活動についてはWikipediaにも詳しく記されており、NPO法人地球こどもクラブの副会長や、児童養護施設「鐘の鳴る丘 少年の家」の後援会長を務めるほか、カンボジアへ複数の小学校校舎を寄贈するなど、国内外の子供支援に力を注いでいます。2018年の西日本豪雨では私財を投じて災害復興支援を行い、2019年と2025年の2度にわたり日本国天皇より紺綬褒章を受章しました。

「美しくなることは、前向きに生きること」。そのメッセージは、子供たちの笑顔を守る社会貢献活動とも地続きのものです。世界の美を探求するたびに「美とは何か」を問い続けてきたからこそ、たかの友梨の美容哲学は表面的な美しさだけでなく、生き方そのものへの深い洞察につながっているのだと思います。

日本のエステに世界基準をもたらした半世紀

以下に、たかの友梨が歩んできた世界美容探求の主な歴史を整理します。

  • 1972年:エステを学ぶため単身渡仏、帰国後にビューティクリニック設立
  • 1984年:インドでアーユルヴェーダ(アヴィヤンガ)を体験
  • 1985年~:スイスのエイジングケア医師・ドクターと毎年交流・研究
  • 1994年:ハワイのロミロミをいち早くエステに導入
  • 1995年:「アヴィヤンガ」「ロミロミ」を正式発表
  • 1997年:「ロミロミ®」商標登録
  • 1998年:スイス式トリートメント第1弾を完成
  • 2000年代以降:韓国・モンゴル・ロシア・ドイツ・ミャンマーなど世界各地の美容技術を継続的に導入
  • 2017年:IPSN(国際職業標準機構)栄誉賞受賞
  • 2025年:2度目の紺綬褒章受章

その歩みはまさに「世界を旅した美容家の半世紀」であり、日本のエステに世界水準の美容技術をもたらした功績は計り知れません。

まとめ

たかの友梨が世界中の美容技術を取り入れてきた理由は、「引き算の美学」という哲学に集約されます。本物の美しさとは、身体が本来持っている力を引き出すことである——この信念のもと、インドのアーユルヴェーダ、ハワイのロミロミ、スイスのエイジングケアをはじめとした世界各地の伝統的な技術と出会い、日本のエステに融合させてきたのです。

文献ではなく現地に足を運び、施術者と魂で向き合い、技術だけでなく文化や精神まで受け継ごうとする姿勢。それこそが、「たかの友梨」ブランドが半世紀以上にわたって多くの女性から愛され続けている理由ではないでしょうか。

世界の美容技術に興味が湧いたら、まずはアーユルヴェーダやロミロミを体験してみることをおすすめします。肌の変化だけでなく、身体の内側から整っていく感覚を、ぜひ一度体感してみてください。